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(2013)
山の湯は越後湯沢温泉にある共同浴場。山中に佇む山小屋のような外観が特徴的である。上越新幹線の開通後、一大リゾートとして開発された湯沢温泉であるが、昔の面影を残し素朴さがにじみ出るその姿は異彩を放つ。
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共同浴場だけに、館内施設は小さな休憩スペースしかなく、至ってシンプルで素朴さがにじみ出る。「素朴」と表現したが、否定的な表現ではなくこれは褒め言葉。
元来、温泉は「素朴」なもの。純粋に湧き出すお湯に入るだけ。余分な設備は不必要であり、温泉の湧出量に見合った浴槽と脱衣所があればいい。だから昔ながらの共同浴場は驚くほど入浴料金は安い。本来それだけでいいはずなのだが…
たくさんの人を入れようとすると浴槽を広げなくてはならない。するとお湯が足りないから加水してお湯を増やす。そして温度が下がるから加温する。結果として設備に費用がかかり、入浴料金も高くなる。残念ながら…一般的な日帰り温泉はそのような傾向が強い。
温泉の本質を理解しよう(楽しもう)と思ったら、余計なもの(過剰な設備)はいらない。司馬遼太郎の「坂の上の雲」に登場する秋山好古の言葉を借りるなら、「物事は単純な方がええ」ということ。すなわち物事の「本質」を理解しようと思ったら、まわりにある鎧をはぎ取った方が解りやすい。だから山の湯では温泉を楽しめるのである。
そんなことを温泉につかりながら考えてしまうほど、素晴らしい湯である。湯の温度は適温からやや熱め。温度調整せずにそのまま源泉が注がれているが、これは本当に奇跡的とも表現できる状態である。アルカリ性であるばかりか硫黄成分がイオンの状態で存在し、お湯の感触はとても柔らかい。フレッシュな温泉であるが、余計なトゲトゲしさがなく熟成された丸さを感じる。
これが自然に湧出する温泉の力ということだろう。ポンプ等を使って汲み上げる「動力揚湯泉」をフレッシュで若いボジョレヌーボーに例えると、「自然湧出泉」は熟成されたワインのようなもの。好みの問題はあるだろうが、私は断然「熟成」のほうがいい。やはり素朴な共同浴場には「熟成」された温泉の方が似合う。
湯沢温泉には数軒の共同浴場があるが、この「山の湯」は間違いなく最上級。どこにしようかと迷ったなら、この「山の湯」を特におすすめしたい。湯沢本来の「湯元源泉」を楽しめるのは共同浴場ではここ「山の湯」だけ。他には隣接する温泉宿の「高半」と「御湯宿 中屋」しかない。
一度入浴したら、湯元源泉の良さが忘れられず、実際、私も湯沢にスノーボードをしにきた時は必ずといっていいほど利用している。ただ設備的(露天風呂・シャワーの数・休憩スペースなど)には、湯沢の他の共同浴場や日帰り温泉には敵わない。その点だけは留意が必要である。
ちなみに駐車場は建物のすぐ前にある。除雪用のスプリンクラーが作動しているので、このような大雪の中でも急な坂道を車で上がることも可能だが、できるだけ大回りで右ハンドルを切らないと右後輪が空回りしてしまう。運転に自身がない人は、坂の下にある冬季駐車場を利用する方が無難だろう。
(2015.8 更新)
住所 | 新潟県南魚沼郡湯沢町湯沢930 | TEL | 025-784-2246 |
URL | なし | 営業時間 | 6:00~22:00 [400円] |
駐車場 | あり | 定休日 | 毎週火曜日 (祝日・年末年始・お盆期間は後日振替) |
主な泉質 | 単純硫黄泉 | 温泉利用 | 源泉100%かけ流し |
浴場設備 | 内風呂 | 塩素消毒 | 塩素消毒なし |