温泉新選組 > 長野の温泉 > 野沢温泉 > ぼくち蕎麦かごや
かごやは野沢温泉の熊の手洗湯温泉街にある小さなお蕎麦屋さん。そば粉にオヤマボクチを練りこんだ完全手打ちのため、1日限定50食、食事メニューは「ざるそば」のみというこだわりの店である。
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野沢温泉スキー場でスノーボードを滑った後の温泉めぐりの道すがら、熊の手洗湯に向かう途中に小さなお蕎麦屋さんを見つけた。店の名は、ぼくち蕎麦かごや。立て看板には「一日限定50食」「オヤマボクチとそば粉」「完全手打ち」などと書かれている。
「オヤマボクチ?」…恥ずかしながら、この時までその名を知らなかったが、北信濃の飯山周辺で蕎麦のつなぎとして使われるアザミ類の植物で、ヤマゴボウと呼ばれる山菜。
つなぎにすると小麦よりも切れにくく、それ自体に味がないため蕎麦本来の風味が味わえるが、収穫量が少ないので幻のつなぎと呼ばれている…そんなことは後日知ったことだが、限定、手打ちとはかなり気になる。
蕎麦屋は店主のこだわりが行き届く小さな店がいい。野沢温泉には他に大きな蕎麦屋が何軒かあるが、この「かごや」が妙に頭の片隅に残った。
その翌々日、朝ゲレンデに向かう途中にちょっと立ち寄ってみた。まだお店は営業前だったが、仕込みだろうか中には人の気配がする。
「ごめんやっしゃ、おくれやっしゃ!」と営業時間を聞くと11:00~14:30ぐらいまでの営業だが、13:30頃には売り切れてしまうことが多いとのことだった。
「なんですとぉ~」この蕎麦を味わうためには13時過ぎにはゲレンデを諦めないといけないっちゅうことになるんかいな。「むむ…むむむ…ど~すんべ?」 まあ滑りながら考えよう。
さすがに三日目になると足の踏ん張りはそうは効かない。数時間もすると肉体の限界、そしてココロの限界もやってくる。や~めた。ちょっともったいないけど、気になる蕎麦をいただくチャンスは今日しかない。
そう決断して日影ゲレンデから遊ロードを下り、温泉饅頭を買いにちょっと寄り道してから「かごや」に着いたのは13時過ぎ。余裕でセーフ! …と入口をみると「おそば完売しました」の衝撃文字。
え~マジっすか…でも「ハイそーですか」と簡単には諦められない。ダメもとで「ひとり分まだありますか?」と聞いたところ「おひとり様なら大丈夫です」とのこと。まさに間一髪…あっぶね~
店内は民家を改築したと思われるほのぼのとした雰囲気。暖房もバッチリ効いて、ウェアを脱がないとかなり暑い。ここは春だな…と感じながら空いている座卓に座りメニューをみると食事メニューは「ざるそば」のみ。このこだわり具合がより期待感を高めてくれる。
空腹だったので迷わず「ざるそば大盛」を注文。すると惣菜はサービスなのでご自由にどうぞとのこと。さすがにこの時間だったので、残っている惣菜は野沢菜程度だったが、蕎麦さえ食べられりゃおいどんは十分でごわす!
野沢菜をつまみ待つこと数分、運ばれてきた待望のお蕎麦は微かに黒みを帯びた挽きぐるみの田舎そば。表面はつるつると瑞々しく、点々と黒い粒が見てとれる。
この光景、蕎麦好きには堪らない。
まず何もつけずツルっとひとくち。ぷ~んと蕎麦の風味が口いっぱいに広がる。いいね~この感じ。なるほどオヤマボクチが蕎麦の風味を邪魔していない。そして、つゆに半分つけてズズっと一気に吸い込む。そばつゆとの相性もよく、のど越しもいい。
蕎麦はシンプルなだけに、誤魔化しができない。素材と製法の善し悪しがそのまま味に反映される。
しかし、うまい蕎麦ほどすぐになくなるのが玉にキズ。大盛を頼んだのにもう終わり。まさに、まぼろし~(IKKOか!)
ざるそば大盛900円なら観光地としてはリーズナブル。12時前にくれば、13時にはゲレンデに戻れそうだし、ゲレ食よりもこっちがいい。
いや~ようござんした。野沢を訪れたらまた食べにこよう。
(2016.3 更新)
住所 | 長野県下高井郡野沢温泉村豊郷9265-2 | TEL | 0269-85-2304 |
URL | なし | 営業時間 | 11:00~14:30 |
駐車場 | 数台のみ | 定休日 | 平日休業(土日のみ営業) |