温泉新選組 > 山梨の温泉 > ほったらかし温泉 > ほったらかしキャンプ場
ユニークな名称そのままに、いつまでも「ほったらかし」されたい大人気のキャンプ場。全40区画の完全予約制で、富士山と甲府盆地を望み眺望抜群。隣接する日帰り温泉は徒歩数分の便利さ。静かに過ごしたいソロやカップルに最適。
※ 下記 マークをクリックで、画像テキストを表示
緊急事態宣言前の2021年3月下旬、ほったらかしキャンプ場を予約できる僥倖(思いがけない幸運)に恵まれた。公式サイトを見てもいつも「満」表示で、ほぼ諦めていたキャンプ場だったが、空いている日にキャンセルが出たのだ。
一部空きのある△表示を見た瞬間、「この機を逃すな! かかれ~」と、まるで戦国時代の合戦ような掛け声が頭をよぎる。
トラトラトラ(ワレ奇襲ニ成功セリ)
ハハハ、やったぞ、やったー!
たまには、こんな幸運があってもいいじゃなかろうか。
ちなみにサイトは全40区画の完全予約制。小屋付き(3) 区画サイト(9) ダイノジ(10) ほったらかし(2)ハナレ(12区画) 横浜(1) デッキサイト(3)があり、若干だがフリーサイト(3張ほど)もある。
レクリエーション等の遊興設備はないが、サイト上部にカフェがあったり、現在整備中のエリアもあるので今後も楽しみなキャンプ場だ。
それにしても「ほったらかしキャンプ場」でキャンプとは何という贅沢なことか。キャンプをしたくてもできなかった2年の想い(執念か怨念か…)が凝縮されたキャンプになりそうな予感がする(苦笑)
当日までの「晴れてくれぃ!」の願い(祈り)が通じたのか、雲はあるが晴れ間ありの天候。そんなワケで頭はノー天気。気分よくお気に入りソングを熱唱しながら中央道を直進すると、あっという間に勝沼ICに着いた。
唐突だが、それぞれの地方には独特の食文化がある。その土地を理解するには食文化を体験することが最も早い。だから食材は現地調達にかぎる!
…なんてご立派な御託を並べたが、食材は鮮度が命。加工品はともかく、肉や野菜などの生鮮品は現地調達の方が安くて美味い。しかも売り場めぐりはチョ~楽しい!(だれだチミは?)
そんな訳で地元のスーパー「オギノ山梨店」で食材をたっぷりと買い出し。全て山梨産とはいかなかったが、少しでも地元経済に貢献できたら嬉しい。
さて、キャンプ場のチェックイン時間(13:00)までちょっと時間がある。そんな時、身体が欲するものは「甘味」
道すがらの笛吹川フルーツ公園に立ち寄りストロベリーソフトを食べ(おっさんだけど)、ほったらかし温泉でゆるキャン△気分を満喫して(温玉あげを食べただけ…)、やってきましたキャンプ場!
まずはエントランスを拝見。「HOTTARAKASHI CAMPING FIELD」の看板に大木のオブジェ。どことなくウェスタン調の趣きがナイスですねぇ(村○とおるかっ)
まずはセンターハウス前に駐車するが、受付開始は13時なので、ほとんどのキャンパーは車内で待機しているが、待機時間がもったいないので薪を物色することに。
いくつか種類があったが、いかにも山梨らしい桃の木は剪定材とのこと。ちょっと割高な感じがして迷ったが、桃の木と焚きつけ用の針葉樹を購入。燃やしたら桃の香りがする…ワケないな(苦笑)
そうこうする間に受付開始。コロナ禍ということもあり、屋外のテーブルで透明なパーテーション越しに確認事項や注意事項を聞いてチェックイン完了。
ほな行きまっさ!
…の前に売店チェックせんとあかんやろ。
※ 下記 マークをクリックで、画像テキストを表示
センターハウスには受付の他に売店があり、シェラカップ・Tシャツのオリジナルグッズを始め、消耗品のガス缶(CB缶とOD缶)や革グローブ・マルチボックス等が販売されている。
ただ駄菓子以外の食材はないので、近隣のスーパー等での事前準備を「おのおの抜かりなく!」
※ 下記 マークをクリックで、画像テキストを表示
ほったらかしキャンプ場は山の斜面にある。始めは段々畑をレイアウトさせたように見えたが、徐々に郭(くるわ)を通路で連結させた砦(とりで)のように思えてきた。城マニアとしてはちょっとアドレナリンが出てくる。
区画サイトは9区画あり、大まかに下段(1~5)と上段(6~9)にエリアが分かれる。各サイトの広さは約7m×9mほど。設営するテントサイズにもよるが、車の駐車スペースもとれる(各サイト1台のみ、2台目以降は受付前に駐車)
受付からダイノジサイトを抜ける道は狭く傾斜があるが、そこを抜けると区画サイト(上段6~9)が見えてくる。
予約したサイトは区画9。並列する6~8区画より段差があり、区切られた独立サイトのようになっているのが特徴だ(すぐ上段にダイノジ9サイトがある)
コロナ禍の中、野外とはいえ人ごみを避けるなどの密回避が重視されるが、区画サイトなのでその点は安心できる。油断は禁物だが、基本的に自分のサイトに他人が入ってくることはない。7m×9m四方の結界の中にいる感覚だ。
サイトをできる限り効果的に使うため、車をどこに駐車するかを迷ったが、電源を使わないので電源ボックスに横づけ。区画9の入口には大きな岩があるので少々手こずったが、無事にバックで駐車する。
テント設営の前に、トイレと洗い場の位置を確認するが、幸いなことに今回のサイトから20mほどの近さ。男女別のトイレは水洗式で清潔感があり、屋根付の洗いに場はシンクが3槽並ぶほどスペースに余裕があり、十分密回避できそうだ。
そうそう、炭や灰を捨てるドラム缶が洗い場前にあるので、焚き火の後始末もかなり楽になりそうだ。こんなさり気ない心づかいが嬉しいんだよねぇ。
よっしゃ、サイトに戻ってテントを設営するとしよう!
※ 下記 マークをクリックで、画像テキストを表示
まずは俯瞰的にサイトを見渡し、テントを張った光景をイメージ。歩幅でおおよその寸法を測り、区画スペースを有効活用できるように車の置き場所を決める。何事も最初が肝心だ。頭の中にちゃんとしたサイト設計図がないと後々苦労する。
なーんて、玄人ぶるところが我ながら可笑しい。
記念すべき初キャンプの相棒はテンマクのサーカスTC。定番といえば定番だが、ワンポールテントの扱いやすさと広いスペースがお気に入り。ちょっと風が強いので、同梱のアルミペグではなく重厚なステンレスペグを打ち込んだ。
フフフ、想定どおりだ…んっ?
説明書通りに張ったハズだが、テントの向きがどうもおかしい。出入口があさっての方角を向いていやがる。
シロウト感丸だし。やはり想像と現実は違うか…
若かりし頃、いろんな「お初」で失敗しないように、某P○PEYEを読みふけり、わかったつもりで見事に失敗していたことを思い出す(苦笑)
張り直しだ~
せっかく打ち込んだペグを抜き、テントの向きを直し、再びペグダウン。二度手間ながら、どうにか設営完了。さらに防水シートを敷いた上にコットとクーラーボックスなどの荷物を運び入れ、焚き火テーブルとチェアなどを配置する。
なんだかんだ2時間近くもかかったが…ついにサイトが完成した!
いいぞぉ~これはぁ~
男心をくすぐる秘密基地的な匂いがプンプン漂ってくるじゃないか。「これがワシの梁山泊よぉ」昔観た映画にこんなセリフがあったっけ…
テントも張れたことだし、あとはのんびり…ではなく、日没前にコーヒーを焙煎せねばならない。自家焙煎の豆で淹れたコーヒーこそ、明日の朝を優雅にする魔法のアイテムなのだ。
用意したガスバーナーに火をつけ、焦げないように手網を回してロースト。
ふふふ明日が楽しみじゃわい(いきなり老けたな)
※ 下記 マークをクリックで、画像テキストを表示
コーヒーの焙煎中、徐々に陽が傾き始めていた。山の夕暮れは思った以上に早い。夜の帳が下りる前にサイトを照らす灯りの準備を始めないといけない。
こんな時、ド○えもんのひみつ道具のように「テッテレー」と洒落たLEDランタンのひとつやふたつ出すのが、今をときめく「シャレオツ(死語)キャンパー」
だが、時代に抗う…いわば滅びの美学を是とする吾輩(スネイ…?)は古いヴィンテージのガソリンランタンを用意したのだ。ポッター!(やはりスネイプか…)
なぬっガソリン?
しかもヴィンテージですとぉ!!
なんてツッコミも聞こえてきそうだが、実はワンタン…いやランタン歴17年。今となっては廃盤のゲニオールHK150から始まり、コールマン200Aや243A、さらにはシアーズやレイルロードランタンにも手を延ばすランタンマニアだったりする。
今回の旅のお供は…
以上3台のランタン
キャンパーに絶大な人気を誇るColeman 200Aの中で、今回持ってきたのはホワイト―ボーダーと呼ばれるもので、200Aの歴史(1951-1983)の中では後期に製造されたもの。
またColeman 243Aは別名シルクハットランタンと呼ばれ、あまりお目にかけないレアなランタン。この齢80を過ぎた爺やが今いちばんのお気に入りなのだ。
そしてAdam's & Westlakeのレイルロードランタンはアメリカのペンシルバニア鉄道で実際の業務(保線作業や信号など)で使われたもの。1909年1月の最終パテント(特許)の刻印があり、次モデルが1912年頃製造されているので1909~1912年に製造されたものと思われる齢110歳のタフガイ爺ちゃん。
え~前説が長くなりましたが、
ランタンスタンド(Snow Peak パイルドライバー)を地面に打ち付け固定。ハンガーをひとつ追加して準備は完了。続けざまにColeman 200AとColeman 243Aを点灯させれば、ランタンツリーの完成でごわす!
圧力式ランタン独特の「クォ~」という燃焼音…この音がマニアにはたまらない。
八十有余年変わらぬ響き、春風そよぐ闇の中に溶けてゆく。これぞぉ男のぉ、いや漢の浪漫っちゅうもんや! うぉ~!!
…興奮いたしまして、大変失礼いたしました。
あらためて丁寧にご説明させていただきます。
御杭を御立て、御衣紋掛けを御ひとつ御付け、御年八十歳余の御シルクハットの御爺さまに御火を御かけ、御暗闇に御溶けになる御音を御拝聴して、御興奮いたしたので御座います御山田さま。
ムムム、、、「御」ばかり並べおって!
…御山田さま?
御御御御付け(おんおみおつけ)トリックかっ
さぁ、お次はファイヤーと晩めしだ!
※ 下記 マークをクリックで、画像テキストを表示
お待ちかねの夕食作り...の前に、まずは焚き火の火起こしをしないといけない。初陣の「ピコグリル398」をセットして、意識を集中。そして渾身の一撃を焚きつけに浴びせてやるのだ!
「メラ! メラミ!!」
う~んダメか…
「え~い、メラゾーマ!!!」
ちーん.......
こんなんで着火できたら苦労はない。茶番はさておき、ここはビギナーらしくガスライターを使い堅実に火をつけることにした。
「ファイヤー!」
言葉とは裏腹に、地味に焚きつけ数か所に火を付け、火吹き棒で息を吹きかける。徐々に火はメラメラと広がり、やがて堰を越えたように火勢を増す。焚きつけが燃え尽きる前に数本の薪をくべる。
「これでよしっ!!」
やることはやった。あとはビールをノドに流し込むだけだ。
プシュっ! ぐびぃ~「あ”~」文字にならない声がでる。
このひとくち、このひとくちがたまらない…さぁメシを 作ろう。
やや熾火になったら、6.5インチのスキレットにオリープオイル・ニンニクを入れアーリオオーリオを作る。溢れんばかりのマッシュルーム・ミニトマト・バジルを適宜加え、しばらく待つ。
出来上がったアヒージョはマッシュルームとミニトマトが主役の野菜アヒージョ。ニンニクの風味いっぱいのマッシュルームは本当に美味い。トマトもエグ味が抜け、ほどよい酸味が口に広がり、それらを包むバジルの余韻も心地よい。
野菜を平らげたら、いよいよ肉の出番だ。
今宵のお肉は豪州産オージービーフ。霜降り和牛を喰らいたかったが、健康を考えての赤身肉…というのは建前で、値段の誘惑に負けたというのが本当のところ。和牛よりも肉々しくて半額以下。ワシらのような庶民にゃこれで十分でごぜえます。
ワイルドな焚き火調理だし、アメリカンで行こうぜ!(オージーだっつうの!)
ここで活躍したのが「ユニフレーム ユニ鉄」20×20㎝のソロサイズの鋳鉄製で、税込3900円とお手頃価格。だから焚き火でも気兼ねなくガンガン使える。
それにしても焚き火はいい。放置してればメシができる。あえてデメリットを挙げれば、火加減が強くお肉が超ウェルダンになったことだ(苦笑)
そして夕食後…
焚火の残火、そして夜景を眺めながらゆっくり瞑想タイム。時折、今回のキャンプでの改善点が頭に浮かび、次はこうしようという思いが頭をめぐるが、こういう時間がまた楽しい。
よほど疲れたのか強い睡魔が襲ってくる。テント内に吊るしたレイルロードランタンの灯りを消し、22時過ぎには寝袋に包まることにした。
ブルブルっ
ふと寒さを覚え目が覚める。スマホをみると草木も眠る丑三つ時(午前2時)の表示。温度計はなんと2℃を指している。4月なのにまるで冬じゃないか。寝る前は10℃以上あったから完全に油断していた。
コットに冬シュラフを装備していたが、地面の冷気が上がってくるようで、どうにも寒い。これはしくった…コット下にシートは敷いていたが、冷気遮断タイプじゃなかったのが災いしたようだ。
何事も備えあれば憂いなし!
そう考えて、念のため持ってきたダウンジャケットは車の中。しかし取りに行くのも面倒くさい。こうなったら残る手段はひたすら耐えるのみ。忍耐こそ正義!
…とばかりにシュラフ内で身体をくの字に曲げ、保温体勢でなんとか乗り切る。
※ 下記 マークをクリックで、画像テキストを表示
人の気配がする。ジャリジャリ…複数の足音で目が覚める。時刻は5時前だが、テント内もぼんやりと明るい。コットから起き上がり外に出てみると、想像以上の寒さに驚く。東京なら真冬の体感気温とかわらない…
富士山は青く若干霞がかってはいるが、山頂付近の雪までくっきりと見える清々しいまでの快晴だ。こんな状況とくれば、熱~い温泉に期待するのが温泉ソムリエの性というもの。
俄然ヤル気がでてきた。
軽く身支度を整えて、ほったらかし温泉にレッツラゴー!(トシばれるぞ)
ほったらかし温泉の詳細は割愛するが、朝からゆっくりと湯につかり、身も心もキレイさっぱり。効果のほどは1時間ともたないだろうが、10歳は若返った気がするのは勘違いではない!(願望も込めて)
朝めしをカレーにするかホットサンドにするか迷ったが、カレーの気分が勝った。そうと決まればメスティンの出番。今となっては懐かしい「ササニシキ」を入れ、水に30分浸した。
ガスバーナー(コンロ)にセットして、最初は強火でフタの隙間から吹いたら弱火にして15分ほど待つ。チリチリ音になったら火を止め、10分ほど蒸しながらレトルトの湯煎も同時進行すると…よっしゃ朝めしの完成だ!
さぁ出でよカレーの達人たちよ!(料理の鉄人のテーマが流れる♪)
メスティンにカレールーをかけ、匂いを嗅ぎつつ「ん~マンダム」
優雅に富士山を眺めながらカレーを口に運ぶ。何という贅沢なひととき。まさに至高、いや究極のひとくちぃ…ん?
ご、ご飯がかたい…
なんじゃあこりゃあ…なぜ…なぜかたいんだ? ジョーぉぉぉぉ!
響くは松田優作の驚きか、丹下段平の絶叫か…
そう水が足らんかった。少し硬めに炊こうとしたのが裏目に出た。しかし残す訳にはいかぬ。カレーは飲み物だ。誰が何といおうと飲み物だ。タピオカだと思って流し込めばええんや!
ずびぃ~…んぐっ…ずびびぃ~
うっぷっ、よし…
こうして、すったもんだの朝メシが終わった。キャンプの余韻をコーヒーで愉しもうと思っていたが、時刻は8時30分をまわっている。うわっ撤収まで時間がない。
やってもうた…温泉で寛ぎ過ぎじゃあ!!
断腸の思いで昨日焙煎したモーニングコーヒーを諦め、いそいそと帰り支度を始めたが、撤収に2時間ほどかかり、結局10時40分を回ってしまった。11時がチェックアウトだからギリギリセーフというところ…
時間配分は計画的に!
反省と教訓ばかりのソロキャンプだったが、今まで経験したアウトドアにない興奮と喜びが身体を駆けめぐった。キャンプはとにかくやることが多い。でもそこに面白さがある。
こうやって沼にハマっていくのだろうな(苦笑)
(2021.8 更新)
住所 | 山梨県山梨市矢坪1669-25 | 料金 | 宿泊料金(大人1人)2,000円~ 使用料(区画サイト) 2,000円~ |
URL | https://hottarakashicamp.com | チェック イン |
13:00~17:00 |
駐車場 | 基本1サイト1台 (2台目以降は受付前に駐車) |
チェック アウト |
テント泊 11:00 小屋付きサイト 10:00 |