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部屋のタイプはすべて和室。ほのかに香る畳のイグサの匂い。襖に障子、床の間に砂壁。今の生活ではすっかりなくなってしまったものばかりだが、この空間の心地よさは何ものにも代えがたい。
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今回の部屋は次の間付の12.5帖の和室。和洋モダンの和洋室や、洒落た洋室もいいが、やはり和室が一番いい。しかも真新しい部屋ではなく、時を刻んだ部屋がいい。侘び寂びが感じられる空間がとても好きなのだ。自分が日本人だと強く意識する瞬間である。
使うことはなかったが、この部屋には内風呂がある。多くの場合、部屋付風呂はユニットバスが多いのだが、この風呂はコンパクトながら立派すぎるほど立派。しかも真湯(沸かし湯)ではなく温泉が出ることが嬉しい。また広縁のガラス戸の向こうには、池のある中庭が広がり、夏みかんが生っていた。
今回利用した部屋ではないが、貸切風呂「初蕾の湯」近くの階段を上ると「萩」と「菫」の2つの部屋がある。小説家の山本周五郎が執筆する際に滞在した部屋であるが、こじんまりとしているが最も奥まった隠し部屋のような雰囲気がある。
山本周五郎は間を見ては、階段を下り「初蕾の湯」で温泉を楽しだという。文学と温泉。いわば創作とリフレッシュ。この両者は切っても切れない仲であることを改めて感じた。