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本物の温泉を探す
- 温泉施設の数は多いが、「本物の温泉」は驚くほど少ない。
- では「本物の温泉」を探すにはどうすればいいだろうか?
- 温泉ソムリエNobuがみる10のポイント!
1.源泉かけ流し
- 「本物の温泉」とはどんな温泉のことだろうか?
- いろんな意見があるだろうが、第一に温泉が「源泉かけ流し」であるかということを確認したい。まずはここから始まる。でも現代において「源泉かけ流し」というのは、かなり贅沢なこと。温泉は限りある地下資源であり、無尽蔵に湧き出るものではない。
- 「もったいない」「温泉は温泉。大して変わらない」「温泉ごときに贅沢なことを言わなくても」という考えもある。正直、「源泉かけ流し」なんて気にしない人もいるだろう。
- でも一言申し上げたい。「循環温泉の本質を理解していますか?」
- 温泉水の循環利用で資源節約。確かに「エコ」だろう。条例では週一回の換水でGood!(いいね!)とされてるから、条例通りに換水は週一回。便利な循環濾過装置はお湯を入れ換え(換水)しなくても温泉の汚れ(異物)を除去してくる。
- ところが、異物は取れるが、使い回した温泉には他人の皮脂がたっぷり残る。それをツルツル、スベスベと勘違い。さらに殺菌のために塩素を入れ、法律で規制のない大量の水で薄めた純度○○%の水割温泉を温め完成した「加工温泉」をはたして「温泉」と呼べる、いや呼んでよいのだろうか?
- 極端な例だけど、上記のような温泉はきっと存在する。というか法律・法令違反の温泉ではない。粛々と遵法精神にのっとり適切に善処している温泉なのだ。そんな温泉に金を払ってまで入りたくない。ウチの風呂で十分だ。
- なんで薬剤入れて使い回したり、水で薄めたり、薄めたものを温め直した、いわば「薬剤脂入り水割り加熱温泉」に入らなきゃなんないの?
- 例えばオレンジジュースでも果汁何%と表示があるし防腐剤など入っていない。果汁3%、30%、100%、どれがオレンジジュースと呼ぶにふさわしいだろうか?
- ちょっとヒートアップしたが、「源泉かけ流し」の温泉を求めることは、温泉の原点回帰に他ならない。「原点」だからこそ「本物」なのだ。
2.塩素を避ける
- 温泉はプールではない。つーんとくる不快な臭い。肌をカサつかせる塩素温泉は避けたい。利用前にサイトなどで情報収集を行うなど入湯前に分かればよいが、確認できなかった場合、どうすれば塩素温泉と判断することができるのか。
- まず始めに浴場の臭いをチェック。そして湯口から流れる温泉水と浴槽内の温泉水の臭いをチェックする。次に注湯状態のチェック。具体的には浴槽からの温泉水のオーバーフロー(循環濾過装置使用温泉は基本的にオーバーフローしない)、および排水経路の確認を行う。
- 塩素臭がなく、注湯量と同じ水量がオーバーフローし、床の排水口に流れていれば、ほぼ間違いなく塩素のない「源泉かけ流し温泉」の可能性が高い。
- ただ塩素臭が感じない浴槽でも微量に塩素が含まれている場合もあるので注意も必要。これは法律で塩素添加をする分量は決められているが、実際には塩素添加をする施設によって添加量がバラバラであることが理由だ。
- もし不幸にして塩素温泉に当たってしまったら・・・もったいない気持ちを抑えつつ、長湯を避け、湯上がりにシャワーなどで身体を洗い流したほうがよい。本来、身体についた温泉成分を洗い流すことはしないのだが、塩素は別。速やかに洗い流したほうがよい。
- 農産物を例に挙げよう。普段目にする見た目のきれいな農産物には大量の農薬が使用されている。虫も食わない野菜だが、人間は見た目のキレイな野菜を喜んで食べる。それに比べ無農薬の農産物は虫食いがあったり見てくれは必ずしもよくない。でも口に入れれば一目瞭然。本来の作物の味がする。何よりも身体に安全である。飛躍しすぎる考え方かもしれないが、温泉にも同じことがいえるのではないだろうか。
- 消毒薬剤添加をせずとも手間(こまめな清掃)はかかるが、充分に衛生管理の行き届いた温泉を維持することはできる。農産物は食べればその味の差はわかるのと同様に、温泉も入浴を重ねるうちに違いを感じるようになる。「本物の温泉」と「偽物の温泉」の差は歴然。視覚・聴覚・触覚・味覚・嗅覚、いわゆる「五感」を解放すれば、両者には雲泥の差があることを感じるはず。
3. 共同浴場
- 昔から共同浴場はその温泉の湯元(大湯などの名称が多い)であることが多く、共同浴場を中心に温泉街が発展する。温泉の湧出量が豊富な温泉地には複数の共同浴場(外湯)も造られた。もともと共同浴場は地域住民のためや湯治をする人のための存在であり、素朴ながら良質な温泉に出会う確率が高いといえる。
4.歴史ある温泉
- 掘削技術は時代とともに進歩してきた。温泉の発見年代が古いほど自然に湧出する温泉が多い。今日では、深深度まで温泉を掘削できる。そのため本来温泉が湧出しなかった地域でも温泉が湧出するようになった。ただ深深度掘削温泉は温泉の濃度が薄かったりするなど、温泉そのもののパワーが弱いことが多い。そのため昔からある温泉は良質な温泉が期待できる。
5.山と川
- 温泉は火山活動と密接な関係(非火山性温泉もある)がある。地下のマグマによって温められた地下水に高温高圧下で様々な成分が溶け込む。そのような地下水の溜まる地層が川などの渓谷に削られ、温泉として湧出する例が多い。(火山の近い海、湖でも同様)
6.秘湯の一軒宿
- 山間部の川沿や谷間は地理的に僻地(秘湯の条件)である事が多い。そのため大規模開発から逃れ、昔の環境が比較的維持されているケースが多く見られる。そのため湯質のよい温泉に遭遇できる確率がかなり高い。
7.大型施設は避ける
- 人気の高い大型施設は消費者ニーズに合わせ、浴場の大型化、露天風呂・貸切風呂の増設をしてきた。温泉資源が豊富であれば問題ないが、供給される湯量の余剰が無い場合、循環濾過装置を使い、汚れた温泉水を濾過し、衛生管理のため消毒薬剤として塩素を温泉水に添加している。それに加え、温泉に加水をしたり、加水による温度低下のために加温を行った後、浴槽に戻される。
- また加水率も大きな問題だ。コップ一杯、スポイト一滴の温泉にいくら加水しても、現在の温泉法という法律では温泉として認可され、「天然温泉」と称してもなんら違法ではない。「温泉法」とはもともと温泉の湧出時の定義をする法律で、温泉偽造問題発覚後に若干の改定はなされたが、実際の浴槽(浴槽)内で入浴する状態の温泉水を完全定義する法律ではない「抜け道のある法律」だからである。
- 例えば、加水の有無の表示があっても何%の加水率かの表示義務はない。それらから分かる通り、実際に入浴する温泉情報は完全ではない。温泉地でもない場所にある大型施設で、「天然温泉」の看板を見かけたら、疑う目を持つことも必要かもしれない。
8.日帰り温泉と公共施設
- 平成の初め、「ふるさと創生一億円事業」で多くの自治体が温泉掘削を行った。その結果、全国、また東京などの大都市圏(島嶼部を除く)においても無数の大型の日帰り温泉施設が誕生した。今日、アクセスの利便性もあり多くの利用者で賑っている。
- それらの施設の多くは湯量不足や人件費削減、作業の効率化のために浴場メンテナンスが容易な循環濾過装置を導入しているケースが多く、塩素漬けの再加工された温泉が多いのが現状である。また循環濾過装置に依存(過信)した結果、浴槽の清掃頻度が低下し、浴槽水の換水もあまり行わない施設も存在する。(法令や条例では週1回の換水で可とされている)
- そのような施設では塩素臭が充満する。当然のことながら、湯口(温泉注入口)からも強い塩素臭がする。当然飲泉は禁止(そのような温泉の飲泉はとても危険なので絶対にしない)。何よりも肌への大ダメージが懸念される。塩素と有機物が原因により発生するトリハロメタンという有害物質に細胞が攻撃され、肌がスベスベどころかカサカサになってしまう。
- また、レジオネラ菌による死亡事故以後、全国各地で塩素添加が自治体から奨励されている。この事件の原因は循環濾過装置を使用しているにもかかわらず、消毒薬剤を添加せずにほとんど(あるいは全く)浴槽水の換水をしなかった事が原因(循環濾過のみの浴槽では逆に消毒薬剤を入れないと危険)である。だが十分な湯量での源泉かけ流しを行い、レジオネラ菌感染の危険性がないにもかかわらず、現場の判断で消毒薬剤(塩素系薬剤)を添加する施設も見られる。
- 私の印象では、特に公共の温泉施設(日帰り温泉、福祉センター、国民宿舎など)ほど十分な湯量の源泉かけ流しであるのだが、消毒薬剤(塩素系薬剤)添加をする例が多いように感じる。よい意味で自治体からの衛生管理の通達徹底をしているのだが、悪い意味で上意下達で個々の状況は考慮されていない。
- 衛生管理は細心の注意をする必要があるが、温泉本来の性質(還元系)を消去してしまう塩素添加(添加により還元系→酸化系へ変化する)は残念に感じる。
9.高い料金
- 鄙びた共同浴場の利用料金(入浴料)は驚くほど低い(無料~300円程)。それは温泉を加工せずに地域住民や利用者に提供しているケースが多いからである。利用料金が高いということは、施設の運営と温泉を入浴可能な状態にすることに余分なコストがかかっていることを意味している。
- 大規模施設ではメンテナンスや維持費だけでも莫大なコストが発生する。循環濾過装置のある施設は導入時のイニシャルコスト(初期費用)、運営時のランニングコスト(維持費)がかかる。その費用分を利用料金に転嫁しているため料金が高いのである。また同じ理由になるが、中小規模の施設であっても利用料金が高い施設は注意が必要である。
10.温泉の情報
- 温泉に対して真面目に取り組み、利用者のことを考えている親切な施設ほど温泉の情報開示を行っている。また以前、温泉偽装問題が発覚したことを考えると、利用者は自分の目で入浴する温泉の現状を確認することが必要になってきている。
- まずチェックしたいのが「温泉分析書」。簡潔に述べると温泉分析書は温泉の履歴書。入湯前に温泉の種類(硫黄泉や塩化物泉など)やその他含有成分、またどのような効能があるかを確認することも温泉の楽しみのひとつ。また温泉法の改正によって循環、加水、加温、入浴剤、消毒薬剤添加をする理由等の情報開示が義務化されているので、チェックを心がけたい。
- ちなみに浴槽での温泉水の状態を確認するためのORP(酸化還元電位)測定の検査結果も信頼できる情報源である。掲示があれば優良な温泉施設であるといえる。
最後に
- この「本物の温泉」の探し方が、温泉に対して真摯に向き合い、温泉の本質を理解している温泉宿・共同浴場などの温泉施設を利用する何かのキッカケになれば幸いです。くれぐれも入浴マナーだけは守って温泉を楽しんでください。

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