温泉新選組 > 岩手の温泉 > 鉛温泉[花巻温泉郷] > 藤三旅館
藤三旅館は鉛温泉にある温泉宿。建物は昭和16年に建築された木造三階建。階段や廊下のキシミ音や建材の光沢は風格すら感じさせる。まるで映画のセットのような独特の雰囲気に包まれる。
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ケヤキ造りの本館は70年もの歴史が積み重なる。客室棟は「旅館部」と「湯治部」に分かれ、旅行と湯治両方の利用者に配慮。湯治文化の息づく東北らしい光景が見られる。
漂うレトロ情緒はまさに本物。試しに建物の玄関写真をセピア加工してみたら…二枚は同じ画像だが、昭和二十~三十年代の光景といっても何の違和感もない。
設備は客室とロビーや寛ぎ処、団体用の食事に使われる広間以外は売店のみ。お土産物のほかにも自炊に必要な食材や日常品まで置かれているのが湯治宿らしい。生活の匂いがするその光景がとても新鮮に映る。
レトロな佇まいも魅力的だが、温泉もまた魅力いっぱい。何よりも素晴らしいのは男女混浴の「白猿の湯」。この風呂は立ちながら入浴できるほど水深が深く、なんと120cmもある。浴槽の底にある岩盤の割れ目から温泉が湧き出す自噴泉というオマケつき。
温泉が湧き出す場所に浴槽があるという、ある意味究極の温泉に入れることが何と素晴らしいことだろうか。外見上の贅沢ではない、やりたくてもできない究極の贅沢さがここにある。
部屋もノスタルジックいっぱいのレトロ和室。ごろんと畳の上に横になる。すると昭和の時代にタイムスリップしたかのような何だか懐かしい感覚が込み上げてきた。
窓からは清らかな水の匂い。古い木造建築に漂う独特の匂い。畳から発するイグサの匂い。それらが鼻孔を駆け抜け、まるで映画のワンシーンのように、懐かしいセピア色の思い出が次々と走馬灯のように思い浮かぶ。
耳に響く川のせせらぎや小鳥のさえずりが心地よい。日々の忙しさから開放されるかのような心からの癒し。木造三階建の風格と漂うノスタルジー。それがこの藤三旅館の魅力なのだろう。木造建築が好きな私にとってはモダンなホテルよりも、この空間の方がずっと落ち着く。
セピア色になりつつある少年時代。またいつか、昔の自分に会いに来ないといけないようだ。
(2015.10 更新)
住所 | 岩手県花巻市鉛字中平75-1 | TEL | 0198-25-2311 |
URL | http://www.namari-onsen.co.jp/ | IN:OUT | 15:00 : 10:00 |
宿泊料金 | 11,000円~18,000円 [旅館部 1泊2食付] | 立寄入浴 | 7:00~21:00 [700円] |
客室数 | 和室32 | 食事場所 | 部屋出し |
駐車場 | あり | 送迎 | - |
主な泉質 | 単純温泉 | 温泉利用 | 源泉100%かけ流し |
浴場設備 | 内風呂・露天風呂 | 塩素消毒 | 塩素消毒なし |