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客室 [明治時代部屋]
漂う明治のエッセンス
今回利用したのは明治時代部屋。この部屋は2部屋しかない貴重な2間続きの畳敷き。明治時代に造られた趣が随所にある。部屋の入口は引戸、書院造の棚、梁がむき出しの天井。どれもが特徴的で、昔の宿の面影を残した深い味わいがある。
書院造りの棚と液晶テレビが妙に合っている。とても不思議な感じだが、和の奥深さというか包容力を感じる光景である。室内は暖房が効いているのであたたかい。でも奥の間の障子を開けると冷気が入ってくる。紙の保温力を改めて感じた次第だ。
そんなに気になる点ではないが、唯一の問題といえば他の部屋の声が聞こえること。声が聞こえるといっても隣室の話し声ではなく宴会の音。天井を通してだろうが、少し離れた宴会場の音が聞こえる。酒が美味いらしくオジサン達はご機嫌のようだ。でも宴会が終わると部屋は静寂に包まれた。
夕食後、部屋に戻ると奥の間に布団が敷いてあった。この何気ないサービスが日本の宿のいいところ。部屋が一変する光景はいつ体験してもいいものだ。そして売店で買った「コシヒカリソフトクリーム」を食べる。ほのかに感じる米の甘さ(白酒のような甘さ)が何ともいえない。日本酒で始まり、米アイスで締める。最初から最後まで米づくしフルコースを味わった気分だ。米どころ新潟を満喫するこの感覚、「日本人しか分からないだろうな・・・」と幸せな気分になった。
アイスを食べ終わると、おもむろに横になる。バッグから旅の友にもってきた文庫本を取り出す。持ってきたのは司馬遼太郎の「坂の上の雲」。風雲の明治時代を駆け抜けた男たちの物語。その物語を明治が息づく部屋で読む。男たちの熱さに涙がにじみ、万感の思いが駆け巡る。「お金では買いない時間」とはまさにこの時間のことだろう。
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