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「本物の温泉」を見分けるための温泉用語をできるだけ分かりやすく解説します。聞き慣れない言葉や、少し難解な単語もありますが、このページを見ればあなたも温泉通に!
あ行
ここでいう塩素とは次亜塩素酸ナトリウムのことを指し、プール、水道、食品添加物などにも使用される殺菌・防腐効果の高い薬剤のこと。
しかし濃度が高いと死亡事故もある毒ガスでもあり、強力な殺菌力により肌の細胞を破壊し老化を促進させ、活性酸素を生み出す原因にもなる。
また、体内に入るとビタミンの破壊や細胞への変異特性を持ち、発ガン性物質トリハロメタンを発生させる原因にもなる危険物質。
※消毒に使用される塩素(次亜塩素酸ナトリウム)と温泉成分中の塩素イオンとはまったくの別物。温泉成分中の塩素イオンは人体に悪影響はない。
温泉ソムリエ協会が認定資格。フランス料理のソムリエがワインの専門知識を持つように、温泉の基礎知識を持ち、入浴法のアドバイスのスキルを持つ人。
詳しくは温泉ソムリエ協会ホームページ http://onsen-s.com/
脱衣所やフロントでよく見かける温泉の成分や注意事項の記述がある掲示物のこと。温泉法で「温泉の成分、禁忌症及び入浴または飲用上注意の掲示」ということで、見やすい場所に掲示が義務づけられている。
温泉の保護と適正な利用のために昭和23年に制定された法律。レジオネラ菌感染問題、温泉偽装問題など様々な問題が発覚したことを受け、随時改定される。
平成19年11月に一部改訂され、温泉成分の定期的な分析が義務付けられた。
温泉法において、温泉とは
「地中から湧出する温水、鉱水及び水蒸気その他のガス(炭素を主成分とする天然ガスは除く)で、別表に掲げる温度または物質を有するもの」
と定義されている。
採取時の温度 | ガス成分を除く溶存物質総量 | 遊離二酸化炭素 |
---|---|---|
25℃以上 | 1,000mg/kg以上 | 250mg/kg以上 |
リチウムイオン | ストロンチウムイオン | バリウムイオン |
1mg以上 | 10mg/kg以上 | 5mg/kg以上 |
鉄(Ⅱ)または 鉄(Ⅲ)イオン |
マンガンイオン | 水素イオン |
10mg/kg以上 | 10mg/kg以上 | 1mg/kg以上 |
臭素イオン | ヨウ素イオン | フッ素イオン |
5mg/kg以上 | 1mg/kg以上 | 2mg/kg以上 |
ヒドロ砒酸イオン | メタ亜砒酸 | 総硫黄 |
1.3mg/kg以上 | 1mg/kg以上 | 1mg/kg以上 |
メタホウ酸 | メタケイ酸 | 炭酸水素ナトリウム |
5mg/kg以上 | 50mg/kg以上 | 340mg/kg以上 |
ラドン | ラジウム塩 | |
20×10-10Ci=74Bq以上 (5.5マッヘ単位以上) |
1×10-8mg/kg以上 |
つまり温度25℃以上ある水・水蒸気・その他のガスであるか、1kg中のガス成分を除く溶存物質が1000mgあるか、または遊離炭酸・鉄・メタケイ酸等の物質が規定値以上含まれているか、どれかひとつを満たせば温泉と認められる。
温泉法で認められる温泉基準の例
ORP(酸化還元電位)は、その物質が他の物質を酸化しやすい状態にあるのか、還元しやすい状態にあるのかを表す指標のこと。この値がプラスなほど酸化力が強く、マイナスなほど還元力が強いとされる。
本来人体は還元状態であるとされるが、様々な酸化物質に取り囲まれている。
温泉は本来還元系で物質の酸化(細胞の老化)を防止する。塩素(次亜塩素酸ナトリウム)は酸化物質のため塩素殺菌された温泉は酸化系になり細胞を老化させる。つまりORP(酸化還元電位)がマイナス、還元系の温泉が推奨される。
ORP(酸化還元電位)測定で浴槽水を調べることは温泉の本来の状態が維持されているかを調べる有効な手段となる。
か行
湧出する源泉には、入浴に適さない低温の温泉もあり、適温まで加温することがある。循環濾過装置使用の場合、浴槽の湯温保持のため加温は必須である。
湯口からは源泉が注がれるが、浴槽が大きく加温や、異物除去のために循環濾過を併用すること。
温泉という限られた「水資源」の有効利用や衛生管理、そして施設の人件費削減に有効であるといわれるが、温泉の使い回しの温床にもなっている。
湧湧出する源泉には、入浴に適さない高温の温泉もあり、適温に下げるために加水することがある。
湯量不足を補うため源泉に加水し、加温するという温泉の「水増行為」のこと。
この加水率の数値が大問題で、現在の温泉法では加水率に関する規定はなく、温泉水をスポイト一滴でも混ぜた水を加熱しても法律上違法ではない。
そこまで極端な例はないかもしれないが、残念ながら加水率の高い、ほとんど水道水に近い状態まで加水する施設が大型施設を中心に相当数あるといわれる。
化石海水とは、太古の海水が地層の隙間などに閉じ込められたもの。平野部の温泉で強塩性の温泉は化石海水であると考えられ、雨水などの循環水ではないため化石海水由来の温泉はいずれ枯渇する可能性があるとされる。
東京都内、埼玉県内では化石海水由来の温泉は多い。
共同浴場とは、地域の人々が日々の生活のために管理・利用する浴場のこと。
銭湯や公衆浴場と異なり、本来は観光客が利用できる施設ではないが、地元の人々の善意で開放されている施設のため、感謝と節度を持ち利用しなければならない。
生活に密着する施設なだけに、素朴だが良質で素晴らしい温泉に出会えることも事実。大型の観光旅館やホテルなどではまず体験することのない入浴体験ができる。
銀はイオン(水に溶けている)状態では、大腸菌などを極微量濃度で死滅させる効果がある。生活環境で普通に存在する細菌については、銀系抗菌剤は確実に効果を持っているとされる。
銀は極めて安全性が高く、人間にとって非常に毒性が低い金属として知られる。
掘削した源泉が自らの力で噴出すること。温泉に力があることの証明であり、良質な温泉が期待できる。
掘削した源泉が自らの力では地表に湧き出ることができない時、動力ポンプで汲み上げること。
水や温泉が湧き出る源のこと。温泉とほぼ同意語としても使われる。
源泉が浴槽に直接流れ込み、余分な温泉水がオーバーフローで排出される状態のこと。放流式、たれ流しと同意義語。
加水を行わない100%の源泉が浴槽に注ぎ込まれ、余分な温泉水がオーバーフローで排出される状態のこと。
鉱水とは鉱物質を多く含む水のことで、鉱泉の水のことを指す。
鉱泉とは「鉱泉分析法指針」で「地中から湧出する泉水および鉱水の泉水で、多量の固形物質、またはガス状物質、もしくは特殊の物質を含むか、あるいは泉温が、源泉周囲の平均気温より常に著しく高いものをいう。
温泉法にいう温泉は鉱泉の他、地中より湧出する水蒸気およびその他のガス(炭化水素を主成分とする天然ガスを除く。)を包合する定義である。
鉱泉は温泉法第2条別表に従い、常水と区別する。鉱泉のうち、特に治療の目的に供しうるものを療養泉とし、第1-2表(療養泉の定義の表のことです)により定義する。」とあり、常水と区別される。
つまり鉱泉の中に温泉があり、その中で治療に効果があるとされるものを「療養泉」という。
鉱泉分析表指針とは、昭和32年に施行され、平成14年に改定された鉱泉の定義や分類および、分析・試験方法等を定めた法律。鉱泉は鉱泉分析表指針によって下記の通り分類される。
酸性 | 弱酸性 | 中性 | 弱アルカリ性 | アルカリ性 |
---|---|---|---|---|
pH3未満 | pH3以上pH6未満 | pH6以上pH7.5未満 | pH7.5以上pH8.5未満 | pH8.5以上 |
冷鉱泉 | 低温泉 | 温泉 | 高温泉 |
---|---|---|---|
25℃未満 | 25℃以上34℃未満 | 34℃以上42℃未満 | 42℃以上 |
低張性 | 等張性 | 高張性 |
---|---|---|
溶存物質8g/kg未満 | 溶存物質8g/kg以上10g/kg未満 | 溶存物質10g/kg以上 |
さ行
温泉が自然の状態で地中より湧き出ることをいう。温泉に力があることの証明であり、熟成された素晴らしい温泉が期待できる。
自己所有もしくは数軒で慣習的に使用する源泉のこと。
自治体によってはレジオネラ属菌等の衛生対策として、温泉水に塩素を添加することを義務付けている。
循環濾過を稼動させている施設には必要な対策であるが、循環濾過装置がなく、新鮮な源泉が適度に注湯され、衛生上問題のない施設に対しても指導(強要)するケースもある。
循環濾過を使い、浴槽水の不純物除去後に、再び浴槽に戻すこと。
ただ、多くの施設では異物除去だけではなく、湯量不足解消や水資源保護という観点で用いられることがある。
その場合、温泉水に消毒薬剤(主に塩素系薬剤)を添加、加水や加温の上、再び浴槽に戻す手法をとることが多いことも事実である。
湯量不足解消や浴槽の清掃作業効率化のために、温泉水を不純物除去のため濾過を行い、消毒薬剤(主に塩素)を添加して、加水や加温の上、再び浴槽に戻し温泉水を再利用する装置のこと。
温泉という水資源の有効利用や衛生管理、そして施設の人件費削減に有効であるといわれるが、温泉水の使い回しという実態の原因にもなっている。
常水とは「鉱泉分析表指針」で鉱泉と区別され、通常は水道水及び井水のことを指す。
泉質とは温泉施設で見かけることの多い温泉の表記であり、泉質名とは「鉱泉分析表指針」で療養泉と定義された温泉のみ表記できる。
全ての温泉で表記はできず、「療養泉」の定義外の温泉(温泉法上の温泉)には泉質表記はない。
掲示用新泉質名 | 旧泉質名 | 新泉質名 |
---|---|---|
単純温泉 | 単純泉 | 単純温泉 アルカリ性単純温泉 |
二酸化炭素泉 | 単純炭酸泉 | 単純二酸化炭素泉 |
炭酸水素塩泉 | 重炭酸土類泉 重曹泉 |
カルシウム(マグネシウム)-炭酸水素塩泉 ナトリウム炭酸水素塩泉 |
塩化物泉 | 食塩泉 | ナトリウム-塩化物泉 |
硫酸塩泉 | 純硫酸塩泉 正苦味泉 芒硝泉 石膏泉 |
硫酸塩泉 マグネシウム-硫酸塩泉 ナトリウム-硫酸塩泉 カルシウム-硫酸塩泉 |
含鉄泉 | 鉄泉 炭酸鉄泉 単純炭酸鉄泉 緑礬泉 単純緑礬泉 |
鉄泉 鉄(Ⅱ)-炭酸水素塩泉 単純鉄(Ⅱ)泉(炭酸水素塩型) 鉄(Ⅱ)-硫酸塩泉 単純鉄(Ⅱ)泉(硫酸塩型) |
含アルミニウム泉 | 含明礬 緑礬泉など |
アルミニウム・鉄(Ⅱ)-硫酸塩泉 含鉄(Ⅱ)-アルミニウム-硫酸塩泉 |
含銅-鉄泉 | 含銅・酸性緑礬泉など | 酸性-含銅・鉄(Ⅱ)-硫酸塩泉 |
硫黄泉 | 単純硫黄泉 硫黄泉 単純硫化水素泉 硫化水素泉 |
単純硫黄泉 含硫黄-○○泉 単純硫黄泉(硫化水素型) 含硫黄-○○泉(硫化水素型) |
酸性泉 | 単純酸性泉 酸性泉 |
単純酸性泉 酸性-○○泉 |
放射能泉 | 放射能泉 | 単純弱放射能泉 単純放射能泉 含弱放射能-○○泉 含放射能-○○泉 |
た行
トレーサビリティ(traceability)とは「追跡可能性」などと訳され、製品の安全性や信頼性を担保するために、生産や加工・流通過程の情報を逐一記録し品質管理に役立てる仕組みのこと。 主に精密機器、食品、流通業界で使われる。
温泉は製品や加工品ではないが、「温泉新選組」では源泉の湧出口から浴槽までの流通過程の把握及び、情報公開することが温泉の品質管理にとって重要なことであると考える。
な行
偽装温泉問題で取り上げられたが、温泉のない施設が温泉と偽るために水道水に添加することや、より色を出すために温泉に追加添加する施設があることが発覚した。改定された温泉法では、入浴剤有無の表示を義務付けている。
「日本秘湯を守る会」とは、朝日旅行会が主催する温泉旅館の組織。1975年4月に設立され、全国各地の秘湯にある旅館が会員として登録している。
加盟を希望する宿全てが登録できるとは限らず「日本秘湯を守る会」の秘湯の基準を満たす必要がある。
朝日旅行または宿に直接宿泊予約(るるぶトラベルも可)した場合に専用のスタンプ帖に宿オリジナルのスタンプを押してもらえ、10個たまるとスタンプのある中で希望の宿に無料宿泊できるサービスがある。
団体客優先の大型旅館ではなく、秘湯という不便な立地で昔から温泉の質を大切にしてきた中小規模の旅館が多く、垢抜けない素朴さがとても魅力的に感じられる。
は行
温泉旅館やホテルなどの宿泊客をターゲットにした温泉施設ではなく、日帰り客をターゲットにした温泉施設のこと。近年、その人気は急上昇。従来の温泉地だけではなく、都市部にも多数の日帰り温泉施設がオープンしている。
露天風呂はもとより、サウナ・ジャグジー・エステ・食事処までも完備する施設も多数見られ、地方の温泉地に行く旅費を考えると、リーズナブルな料金設定と近場の手軽さが人気の理由といえる。
秘湯とは本来、山奥などの交通の便が悪い場所に存在する温泉のことを指す。しかしインフラ整備が進んだ今の日本では、本当の意味での秘湯というのはほとんど存在しない。
温泉新選組では「山奥にある」「人里から離れている」「アクセスが不便」などの温泉を秘湯と定義している。
「温泉新選組」管理人であるNOBUのこと。愛車レガシィを駆り温泉にたびたび出没。夏秋は釣りのできる防波堤、冬には関東・甲信越のスキー場にも現れる模様。
「温泉ソムリエ」「温泉入浴指導員」以外にも「J.C.Q.A.コーヒーインストラクター2級」の資格を持ち、コーヒー業界の知識も有する。また、当サイト「温泉新選組」を制作できる程度のWEB制作知識も有するらしい…
東京生まれの東京育ちだが、仕事の都合で神戸に7年ほど在住。怪しげなインチキ関西弁をたまに口走り、周囲を惑わせるB型人間。
司馬遼太郎「燃えよ剣」の土方歳三や池波正太郎「真田太平記」の真田幸村など、逆境の中でも一途な志を持ち続ける武士の生き様に、感銘を覚え、ついつい涙腺が緩むとのこと。
手前味噌だが、いいヤツである。
ま行
MIOX(マイオックス)とは、ミックスオキシダントの略称で、米国国防省が開発した水の浄化装置のことで、もともとは戦地などで飲料水用に水を浄化する手段として開発された。
MIOXシステムは、塩(NaCl)と水(H2O)を電気分解させて「電解式混合酸化剤(電解次亜塩素酸とオゾン、二酸化塩素、過酸化水素等の複合の酸化剤)」を発生させる。
混合酸化剤はプール内有機物を酸化分解させるが、酸化速度・能力ともに塩素薬剤に比べ格段に強力で、雑菌はおろかウィルスまで酸化分解する。
また、人体に対する影響は従来の塩素薬剤と比べはなはだ弱く、混合酸化剤により有機物が酸化分解されるため、塩素臭はほとんど発生しない。
さらに、この強力な殺菌効果ともうひとつの効果である凝集効果により水の透明度が増すばかりか、トリハロメタンの除去やバイオフィルム(レジオネラ菌の巣)の除去もするほど効果があるとされる。
モール泉とは、太古に存在した植物の堆積物が地熱で温められ発酵した有機物が含有されている温泉のこと。
ワインやウーロン茶のような茶褐色で麦わらのような臭いがするのが特徴。ちなみにモールとはドイツ語で沼や沢のこと。
や行
ら行
昭和32年に改訂された「鉱泉分析表指針」で治療の目的に供することができる鉱泉のことを指し、療養泉の条件に合致して初めて泉質名が付き、療養泉としての適応症などの表示が認められる。
よって温泉法だけで定義された温泉は泉質表示することができず「温泉法上の温泉」としか表記できない。
採取時の温度(必須) | ガス成分を除く溶存物質総量 | 遊離炭酸 |
---|---|---|
25℃以上 | 1,000mg/kg以上 | 1,000mg/kg以上 |
総鉄イオン | 水素イオン | ヨウ化物イオン |
20mg/kg以上 | 1mg以上 | 10mg/kg以上 |
総硫黄 | ラドン | |
2mg/kg以上 | 30×10-10Ci=111Bq以上 (8.25マッヘ単位以上) |
つまり温度が25℃以上、かつ温度以外のひと条件を満たせば療養泉と認められる。
温泉は高温高圧の地下より湧出するもの。地上に湧出した瞬間から湯の酸化やイオンの結晶化(湯の華や濁りなどの水色の変化など)が始まる。つまり強く濁りのある湯は、実はとても劣化の進んた温泉と表現することもできる。
わ行