副長の独断と偏見に満ちた局中法度を基準にした源泉かけ流し本物の温泉の見極め方 「温泉之達人」
副長の独断と偏見に満ちた局中法度を基にした源泉かけ流し本物の温泉の見極め方です。
※この見極め方は個人の見解ということをご了承下さい。
昔の共同浴場はその温泉地の湯元(大湯などの名称が多い)であったことが多く温泉地は共同浴場を中心に温泉街を形成して発展してきました。また、温泉の湧出量が豊富な温泉地には複数の共同浴場(外湯)も造られてきました。
もともと共同浴場は地域住民のためや湯治をする人のための存在であったため、昔ながらの共同浴場は素朴ですが良質な温泉にめぐりあう事ができます。よって共同浴場がある温泉地は良質な温泉が期待できるでしょう。
温泉の発見年代が古いほど掘削技術が未発達のため温泉は自然に湧出していました。そして近代になると掘削技術の進歩により、本来温泉が湧出しない地域においても深い深度まで掘削するようなりました。(深々度掘削温泉は温泉の濃度が薄かったり、海に近い平野部では化石海水のものが多い)そのため古湯には良質な温泉が期待できます。
温泉は火山活動と密接な関係(非火山性温泉もあります)があります。地下のマグマによって温められ、高温高圧下で様々な成分が溶け込んだ地下水の溜まる地層が川などの渓谷に削られ湧出する例が多いからです。(火山の近い海、湖でも同様です)
山間の川沿は地理的に僻地(秘湯の条件)である事が多く、大規模開発されずに昔の環境が比較的維持されているケースが多く見られます。そのために湯質の良い豊富な温泉を一軒宿では、ほぼ独占使用できる確率が高いからです。
大型施設は利用人数も多く、浴場の大型化や消費者ニーズに合わせ露天風呂、貸切風呂の増設をしてきました。湯量が豊富な温泉地や施設は問題ないのですが、供給される湯量に余剰の無い温泉地や施設では循環濾過装置を使い、汚れた温泉水を濾過し、消毒薬剤として塩素を温泉水に添加し、加水や加温をして湯船に戻され再利用しているケースがあります。
また、加水率も大きな問題です。コップ一杯、スポイト一滴の温泉にいくら加水しても現在の温泉法という法律では温泉として認可され、「天然温泉」と称してもなんら違法ではありません。「温泉法」とはもともと温泉の湧出時の定義をする法律で、温泉偽造問題発覚後に若干の改定はされましたが、実際の浴槽(湯船)内で入湯する状態の温泉水を完全定義する法律ではない「抜け道のある法律」だからです。
例えば、加水の有無の表示があっても何%の加水率かの表示義務はなく、実際に入湯する温泉の情報は完全ではありません。最近よく見かける「天然温泉」の看板ですが、温泉地でもない場所にある大型施設でその看板を見かけたら、疑う目を持つことが必要かもしれません。
平成の初めに「ふるさと創生一億円事業」で多くの自治体が温泉掘削をした結果、全国に無数の日帰り温泉施設が誕生しました。また大都市圏、特に東京でもたくさんの日帰り温泉施設が誕生し、多くの利用者で賑っています。
それらの施設の多くは湯量不足や人件費削減、作業の効率化のために浴場メンテナンスが容易な循環濾過装置を導入しているケースが多く、塩素漬けの再加工された温泉が多いのが現状です。また循環濾過装置に依存した結果、浴槽の清掃頻度が低下し、浴槽水の換水もあまり行わない施設もあります。(ちなみに法令では週に1回の換水で良いとされています)
そのような施設の浴場では塩素臭が充満し、湯口(温泉注入口)からも塩素臭がして当然飲泉は禁止されています。(そのような温泉の飲泉はとても危険ですので注意が必要です)そして、何よりも体、特に肌への大ダメージが懸念されます。(細胞が攻撃され肌がスベスベどころかカサカサになってしまいますヨ・・・)
また、レジオネラ菌による死亡事故以後、全国各地で塩素添加が自治体から奨励されています。この事件の原因は循環濾過装置使用にもかかわらず、消毒薬剤を添加せずにほとんど(あるいは全く)湯船の湯の換水をしなかった事が原因(循環濾過のみの湯船では逆に消毒薬剤を入れないと危険です)なのですが、十分な湯量の源泉かけ流しでレジオネラ菌感染の危険性がないのに現場の判断で消毒薬剤(塩素系薬剤)を添加する施設も見られます。
私の印象では特に公共の温泉施設(日帰り温泉施設、福祉センター、国民宿舎など)ほど十分な湯量の源泉かけ流しであるのに消毒薬剤(塩素系薬剤)添加をする例が多いように感じます。よい意味で自治体などからの衛生管理の通達徹底をしているのですが、悪い意味では上意下達で個々の状況は考慮されていません。衛生管理は細心の注意をする必要がありますが、温泉本来の性質(還元系)を消去してしまう塩素添加(添加により還元系→酸化系へ変化する)は残念に感じてしまいます。
鄙びた共同浴場の利用料金は驚くほど低く(無料~300円程)設定されています。それは最低限の設備で加工していない温泉を地域住民や利用者に提供している場合が多いからです。利用料金(入湯料)が高いということは、その施設を運営し、温泉を入湯可能な状態にすることに余分なコストがかかっていることを意味しています。
大規模施設ではメンテナンス維持費だけでも莫大なコストがかかり、大多数で導入している循環濾過装置も導入時のイニシャルコスト(初期費用)、運営時のランニングコストがかかります。また中小規模の施設で利用料金が高い施設も注意が必要です。
温泉に対して真面目に取り組み、利用者のことを考えている親切な施設ほど情報開示をしています。また温泉偽装問題が発覚したことを考えると、利用者は自分の目で入湯する温泉の現状を確認することが必要になってきています。
温泉分析書は温泉の履歴書です。ただ温泉に入るのではなく、どんな成分があり、どのような効能があるかを確認することも温泉の楽しみの一つです。また温泉法の改正によって循環、加水、加温、入浴剤、消毒薬剤添加をする理由の情報が開示義務になっていますので、よく確認することが大切です。そして湯船での温泉水の状態を確認するためのORP(酸化還元電位)測定の数値結果も信頼できる情報源です。
注湯口で源泉からの温泉水の臭いと注湯の確認、そして浴槽からの温泉水のオーバーフロー(循環濾過装置使用温泉は基本的にオーバーフローしない)とその排水経路を確認します。塩素臭(プールの消毒のニオイ)がなく注湯量と同じ量がオーバーフローし、床の排水口に流れていれば、ほぼ間違いなく消毒薬剤(塩素系薬剤)添加のない源泉かけ流し「本物の温泉」の浴槽であり、素晴しく快適な入湯が楽しめます。
また塩素臭が感じない浴槽でも微量に塩素が含まれている場合もあります。これは塩素添加をする分量は決められていますが実際に塩素添加をする施設によって添加量がバラバラなので注意が必要です。
温泉新選組では、温泉水への塩素系薬剤などの消毒薬剤添加の有無の確認を最重要確認事項としています。それは塩素という物質が人間にとってとても有害な物質だからです。健康になるための温泉利用が逆に不健康になる危険性を孕んでいる。塩素添加温泉は極端な表現ですが、百害あって一利なしと考えざるを得ません。
今日、源泉かけ流しという言葉がクローズアップされ源泉かけ流しの温泉を求める人が徐々に増えてきています。しかし現状あまり塩素系薬剤の添加の有無についてはあまりクローズアップされていないように感じられます。
浴槽の衛生管理はとても重要な事柄です。それは必要なことであり理解もしています。でも必要以上の衛生管理は必ずしも必要なものでしょうか。例として適切ではないかもしれませんが、普段目にする見た目のきれいな農産物には大量の農薬が使用されています。しかし有機栽培や無農薬の農産物は手間もかかる上、また見てくれも必ずしもよくありませんが、本来の作物の味がする上、何よりも身体に安全です。乱暴な考え方かもしれませんが温泉にも同じことがいえるのではないでしょうか。
消毒薬剤添加をせずとも手間(こまめな清掃)はかかりますが、充分に衛生管理の行き届いた温泉を維持することはできます。作物は食べれば必ずその味の差はわかるのと同様に、温泉も入湯する内に必ず体で違いを感じることがでます。「本物の温泉」と「偽物の温泉」の差は歴然で、人間の五感で比べると雲泥の差を感じることでしょう。
この「温泉の見極め方」が、見かけだけの温泉施設ではなく本当に温泉に対して真摯に向き合い、温泉の本質を理解されている温泉宿・共同浴場などの温泉施設を利用する何かのキッカケになれればとても嬉しく思います。
でも、くれぐれも入湯マナーだけは守って入湯してくださいネ!