温泉ソムリエNOBUが「本物の温泉」を探すキーワードを大公開
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本物の温泉を探す
- 温泉施設の数は多いが、「本物の温泉」は驚くほど少ない。
- そんな本物の温泉を探すにはどうすればいいだろうか?
- 10のキーワードを大公開。
其ノ壱 共同浴場を探す
- 昔から共同浴場はその温泉の湯元(大湯などの名称が多い)であることが多く、共同浴場を中心に温泉街が発展する。温泉の湧出量が豊富な温泉地には複数の共同浴場(外湯)も造られた。もともと共同浴場は地域住民のためや湯治をする人のための存在であり、素朴ながら良質な温泉に出会う確率が高いといえる。
其ノ弐 歴史ある温泉
- 掘削技術は時代とともに進歩してきたため、温泉の発見年代が古いほど自然に湧出する数は多い。今では深深度まで掘削できるため本来温泉が湧出しなかった地域でも温泉が湧出するようになった。ただ深深度掘削温泉は温泉の濃度が薄かったりするなど、温泉そのもののパワーが弱いことが多い。そのため昔からある温泉は良質な温泉が期待できる。
其ノ参 山間と川沿い
- 温泉は火山活動と密接な関係(非火山性温泉もある)がある。地下のマグマによって温められた地下水に高温高圧下で様々な成分が溶け込む。そのような地下水の溜まる地層が川などの渓谷に削られ、温泉として湧出する例が多い。(火山の近い海、湖でも同様)
其ノ四 秘湯の一軒宿
- 山間部の川沿は地理的に僻地(秘湯の条件)である事が多い。そのために大規模開発から逃れ、昔の環境が比較的維持されているケースが多く見られる。そのため湯質のよい豊富な温泉をほぼ独占使用できる確率が高い。
其ノ五 大型施設は避ける
- 人気の高い大型施設は費者ニーズに合わせ、浴場の大型化、露天風呂・貸切風呂の増設をしてきた。温泉資源が豊富な温泉地や施設は問題ないが、供給される湯量の余剰が無い場合は循環濾過装置を使い、汚れた温泉水を濾過。衛生管理のための消毒薬剤として塩素を温泉水に添加している。それに加え、温泉に加水をしたり、加水による温度低下のために加温を行って後浴槽に戻すケースがある。
- また加水率も大きな問題である。コップ一杯、スポイト一滴の温泉にいくら加水しても現在の温泉法という法律では温泉として認可され、「天然温泉」と称してもなんら違法ではない。「温泉法」とはもともと温泉の湧出時の定義をする法律で、温泉偽造問題発覚後に若干の改定はなされたが、実際の浴槽(浴槽)内で入浴する状態の温泉水を完全定義する法律ではない「抜け道のある法律」だからである。
- 例えば、加水の有無の表示があっても何%の加水率かの表示義務はない。それからも分かる通り実際に入浴する温泉情報は完全ではない。温泉地でもない場所にある大型施設で、「天然温泉」の看板を見かけたら、疑う目を持つことも必要かもしれない。
其ノ六 日帰り温泉と公共施設は要注意
- 平成の初め、「ふるさと創生一億円事業」で多くの自治体が温泉掘削を行った。その結果、全国に無数の日帰り温泉施設が誕生した。その後大都市圏、特に東京でも多くの日帰り温泉施設が誕生。アクセスの利便性もあり多くの利用者で賑っている。
- それらの施設の多くは湯量不足や人件費削減、作業の効率化のために浴場メンテナンスが容易な循環濾過装置を導入しているケースが多く、塩素漬けの再加工された温泉が多いのが現状だ。また循環濾過装置に依存(過信)した結果、浴槽の清掃頻度が低下し、浴槽水の換水もあまり行わない施設も存在する。(法令や条例では週1回の換水で可とされている)
- そのような施設の浴場では塩素臭が充満し、当然のことながら湯口(温泉注入口)からも塩素臭がするケースが多く、当然飲泉は禁止され(そのような温泉の飲泉はとても危険なので注意が必要)、何よりも体、特に肌への大ダメージが懸念される。塩素と有機物が原因により発生するトリハロメタンという有害物質に細胞が攻撃され、肌がスベスベどころかカサカサになってしまう。
- また、レジオネラ菌による死亡事故以後、全国各地で塩素添加が自治体から奨励されている。この事件の原因は循環濾過装置を使用しているにもかかわらず、消毒薬剤を添加せずにほとんど(あるいは全く)浴槽水の換水をしなかった事が原因(循環濾過のみの浴槽では逆に消毒薬剤を入れないと危険)である。だが十分な湯量での源泉かけ流しを行い、レジオネラ菌感染の危険性がないにもかかわらず、現場の判断で消毒薬剤(塩素系薬剤)を添加する施設も見られる。
- 私の印象では、特に公共の温泉施設(日帰り温泉、福祉センター、国民宿舎など)ほど十分な湯量の源泉かけ流しであるのだが、消毒薬剤(塩素系薬剤)添加をする例が多いように感じる。よい意味で自治体からの衛生管理の通達徹底をしているのだが、悪い意味で上意下達で個々の状況は考慮されていまない。
- 衛生管理は細心の注意をする必要があるが、温泉本来の性質(還元系)を消去してしまう塩素添加(添加により還元系→酸化系へ変化する)は残念に感じる。

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其ノ七 高い料金は疑え
- 鄙びた共同浴場の利用料金は驚くほど低く(無料~300円程)設定されている。それは最低限の設備で加工していない温泉を地域住民や利用者に提供している場合が多いからである。利用料金(入浴料)が高いということは、その施設を運営し、温泉を入浴可能な状態にすることに余分なコストがかかっていることを意味している。
- 大規模施設ではメンテナンス維持費だけでも莫大なコストがかかる。導入している循環濾過装置は導入時のイニシャルコスト(初期費用)、運営時のランニングコストがかかる。その分を利用料金に転嫁しているので料金が高いのである。また同じ理由で中小規模の施設で利用料金が高い施設も注意が必要だ。
其ノ八 温泉の情報開示
- 温泉に対して真面目に取り組み、利用者のことを考えている親切な施設ほど温泉の情報開示を行っている。また温泉偽装問題が発覚したことを考えると、利用者は自分の目で入浴する温泉の現状を確認することが必要になってきている。
其ノ九 温泉分析書とORP測定
- 温泉分析書は温泉の履歴書である。ただ温泉に入るのではなく、どんな成分があり、どのような効能があるかを確認することも温泉の楽しみのひとつ。また温泉法の改正によって循環、加水、加温、入浴剤、消毒薬剤添加をする理由等の情報開示が義務化されたので、注意して確認することが大切である。
- ちなみに浴槽での温泉水の状態を確認するためのORP(酸化還元電位)測定の数値結果も信頼できる情報源なので、あれば注意したい。
其ノ十 塩素臭とオーバーフロー
- まず注湯口と浴槽内の温泉水の臭いをチェック。次に注湯状態のチェック。具体的には浴槽からの温泉水のオーバーフロー(循環濾過装置使用温泉は基本的にオーバーフローしない)、および排水経路の確認を行う。
- 塩素臭(プールの消毒のニオイ)がなく、注湯量と同じ水量がオーバーフローし、床の排水口に流れていれば、ほぼ間違いなく消毒薬剤(塩素系薬剤)添加のない「源泉かけ流し温泉」の浴槽と判断してよく、快適で素晴らしい入浴が楽しめる。
- ただ塩素臭が感じない浴槽でも微量に塩素が含まれている場合もある。これは法律で塩素添加をする分量は決められているが、実際には塩素添加をする施設によって添加量がバラバラであることが理由となっている。
- 「温泉新選組」では、温泉水への塩素系薬剤の有無確認を最重要確認事項としている。それは塩素という物質が人間にとってとても有害な物質だからである。健康になるための温泉利用が逆に不健康になる危険性を孕んでいる。極端な表現だが、塩素添加温泉は百害あって一利なしと考えざるを得ない。
- 今日、源泉かけ流しという言葉がクローズアップされ、源泉かけ流しの温泉を求める人が徐々に増えてきている。しかし塩素系薬剤の添加の有無について、現状ではあまりクローズアップされていないように感じられる。
- 浴槽の衛生管理はとても重要な事柄であるそれは必要なことであり理解もしている。しかし必要以上の衛生管理は必ずしも必要なものなのだろうか。例として適切ではないかもしれないが、農産物を例として取り上げたい。
- 普段目にする見た目のきれいな農産物には大量の農薬が使用されている。しかし有機栽培や無農薬の農産物は手間もかかる上に見てくれも必ずしもよくない。でも本来の作物の味がする。何よりも身体に安全である。飛躍しすぎる考え方かもしれないが、温泉にも同じことがいえるのではないだろうか。
- 消毒薬剤添加をせずとも手間(こまめな清掃)はかかるが、充分に衛生管理の行き届いた温泉を維持することはできる。作物は食べれば必ずその味の差はわかるのと同様に、温泉も入浴する内に必ず体で違いを感じることができる。「本物の温泉」と「偽物の温泉」の差は歴然。人間の五感で比べると雲泥の差であることを申し上げたい。
最後に
- この「本物の温泉」の探し方が、温泉に対して真摯に向き合い、温泉の本質を理解している温泉宿・共同浴場などの温泉施設を利用する何かのキッカケになれば幸いである。くれぐれも入浴マナーだけは守って温泉を楽しみたい。

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